森で書いた原稿は、どれも山小屋からファックスで出版社へ送信した。
しかし、装順の版下原稿は、そんなわけにはいかない。東京の事務所で制作し、編集者に直に手渡している。
これからも、東京との往復生活は続くだろう。だが、いつも頭の隅には森に一日でも余分にいたい、過ごしたいという思いがよぎっている。
最近は、そんな思いが起こると、頭の隅っこで「パソコンがあれば簡単だぞ」とか、「パソコンも安くなったぞ」と、悪魔なのか女神なのか分からないが、小さなささやき声が聞こえてくるようになったのである。森のさまざまな生態系に興味を持つと、それらの整理と分類にパソコンが便利ではと思うようになった。
最近のパソコンの進化と、ソフトの充実は目覚ましい。さまざまな図鑑辞典のCDlROMソフトがある。
「森へノート型パソコンを持って入れば、知らない昆虫を見かけてもすぐ検索できるじゃないか」とか、「携帯電話と接続すれば、博物館や昆虫資料館に問い合わせることもできるじゃないか」とか、頭の隅からのささやきが聞こえる。街に出ると、ついついパソコンの専門雑誌や入門書を手にし、読みふけっている自分がいた。
そして、いつの間にかパソコンの女神か悪魔か分からないが、モャモャした得体の知れないパソコンへの興味が、僕の頭に棲みついていたのである。パソコンは熟年こそ楽しめる道具。
僕がパソコンに惹かれた理由。今更パソコンをはじめて何の役に立つのかと、何度も自問し、悩んだ。
多くの友人に質問しアドバイスを受けた。すると誰しもが言う共通のアドバイスがあった。
「コンピュータは、難しい計算や設計を助けてくれる機械でなく、自分自身の生き方や人生に大いに役立つ道具です」と。また、ある友人は「パソコンは、我々の目となり耳となる道具です」といいきった。
実際に使いこなすようになると、仕事以外にも生活での「道具」であるという具体的な要素が見えてきた。パソコンで電子メールのやり取りを覚えれば、遠くにいる息子や親族と連絡が瞬時に簡単にでき、家族との紳が深まる。
趣味を同じくする新しい仲間やグループの存在を知る事ができる。あるいは共通の趣味を持つ仲間づくりに参加することができ、自身の社会参加を容易にさせてくれる。
インターネットに繋げば、自宅にいながら日本中はもとより世界の情報を手にいれることができる。海外からの情報というと、英語が分からなければと、誰もが考えることだがそれも無用なのだ。
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